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退職金はやわかりドットコム

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退職金制度の必要性  

  • 産業能率大学が毎年、新入社員に行っているアンケート調査によると、2008年度は終身雇用を望む割合は66.4%で、前年度に次ぐ高水準となりました。また、定年退職に関する質問では「60歳で退職したい」という人が前年より3.7ポイント増加し32.6%となったというものです。
  • 我が国は、バブル経済が破綻した後、各企業はリストラを断行し、同時に採用抑制策を採りました。そして、成果主義型人事評価制度を導入する企業が増大しました。しかしその結果、管理職も中堅社員も個人としての成果を上げることに汲々とし、企業の将来への発展をもたらす生命線である「部下の育成」が置き去りにされ、かつ職場内のコミュニケーションがなくなるという、成果主義の弊害が顕著になってきました。
  • わが国では特にアメリカとは異なり、部長や課長のもとで部下とともにチームワークを組んで、全体で一つの仕事を完結する方式が多いため、全員のコミュニケーションと団結が重要になります。筆者の新入社員の頃の感覚は、給料が高いかどうか、会社の将来性とか安定性が基準でしたが、今の世代は、もちろん収入やポストも大事ですが、何よりも「個人の成長実感」があるかどうかと言われています。
  • 以上から考えるとき、人生の大事な年齢層の時代を一つの会社で過ごすのですから、昇給・昇格の体制はもとより、将来に希望の持てる「退職金制度」は是非とも必要な制度であると思います。企業の発展を支える優秀な「人財」の確保のためにも、逆に優秀な人財の流出を防ぐためにも「退職金制度」は構築しておく必要があります。

退職金制度の種類と概要  

  • 現在、中小企業の最も多くが採用している「税制適格退職年金」が平成24年3月末で移行期間終了、完全廃止となります。これは平成14年4月の「確定給付企業年金法」の施行により決定されたものです。
    廃止の理由は、この制度を利用する多くの企業では、運用予定利率を年5.5%として制度を構築していますが、当時はITバブルが弾け、株価の下落などにより特に平成12年から14年については3年連続でマイナス運用という結果でした。
    このため、多くの企業が巨額の積立不足を抱えることになり、受給権者の保護ができなくなったことが廃止の大きな要因です。
  • この適格年金の移行としては、(1)単純に制度自体を廃止する、(2)中小企業退職金共済(中退共)への移行、(3)確定給付企業年金への移行、(4)確定拠出年金への移行の4つの選択肢があります。
    あと3年余りの終了まで、まだ全国で数万件の企業が移行完了していないとのことですが、企業側にとっては確かに大きな問題と思われます。

基本給連動型退職金制度  

  • この退職金制度は、大企業をはじめ非常に多くの企業で採用されている、いわば我が国におけるスタンダードの退職金制度です。
    退職金は次の計算式に基づき計算されます。

退職時の基本給×退職時の勤続年数に対応した支給係数(月数)


  • この制度のデメリット
    • 基本給は毎年の定期昇給等で年功序列的に運用されており、そのため退職金も年功色が強くなる。
    • 基本給が何らかの原因で高騰すると退職金支給額までもが膨れ上がってしまう。また、将来、定年制が延長になると支給総額の増大となり直接、経営圧迫の要因となる。
    • 確定給付型の制度のため、その運用リスクは会社が持たなければならない。
  • この制度のメリットといえるものは、従業員にとって定年まで勤め上げると退職金も最も大きな金額で受け取れることと言えます。

別テーブル方式退職金制度  

  • この制度は、基本給連動型と同様、勤続年数に応じた支給係数を規定し、それに等級別などで定める算定基礎額を乗じて支給額を算出する。
    見た目には基本給連動型と似ているが、基本給など実際の給与と連動させないという特徴がある。

等級別算定基礎額×退職時の勤続年数に対応した支給係数(月数)


  • 等級に応じた算定基礎額を用いることによって、退職時の等級によって退職金の支給額が変わる「貢献度反映型の制度」と言えます。
    なお、この制度は基本給連動型の支給率表を生かしたまま、貢献度を反できる制度のため、社員や労働組合の同意を得やすいとの特徴があります。

ポイント制退職金制度  

  • この制度は、在職中の貢献度を組織的、体系的に退職金に反映させる退職金制度で、多くの場合、以下の算式で計算される。

(勤続ポイント累計+資格ポイント累計)×ポイント単価


  • 勤続年数に対応する「勤続ポイント」と、その会社における資格制度と連動する「資格ポイント」の2つを設定し、
    その累計ポイントに一定のポイント単価を掛けて退職金支給額を計算する方式で、例えば、以下の表のような決め方となる。
(A)勤続ポイント(B)資格ポイント
●勤続年数1年あたり●●在職年数1年あたり●
勤続3年以上20年未満=10ポイント部長=30ポイント
勤続年数20年以上42年以下=20ポイント課長=20ポイント
係長=10ポイント
  • 例えばある社員が「勤続年数42年」で、そのうち「部長10年」、「課長10年」、「係長10年」務めた場合の退職金支給額は以下のようになります。
    • 勤続ポイント=20ポイント×42年=840ポイント
    • 資格ポイント

      ○部長職=30ポイント×10年=300ポイント

      ○課長職=20ポイント×10年=200ポイント

      ○係長職=10ポイント×10年=100ポイント

      合計=600ポイント

  • 累計ポイント=1440ポイント
  • ポイント単価を1万円とすると、退職金は1440万円と計算されることになります。

定額制退職金制度  

  • この制度は、勤続年数ごとの退職金支給額を、例えば「勤続20年で600万円」というように直接、定める退職金制度で、小規模事業所で多く採用されている。
  • この制度のメリットは、基本給連動型のように不用意に退職金額が膨れ上がることもなく、支給水準について留意して決めれば使いやすい制度と言われております。
  • デメリットとして、勤続年数のみで退職金を計算するため、会社に対する貢献度が反映されないとの指摘があるが、これも必要であれば別枠で特別功労金を上乗せすれば対応ができると考えられる。

前払い型退職金制度  

  • この制度は、既存の退職金制度を廃止して、それまでの退職金制度に基づく既得権は保証した上で、今後については、その相当額を手当として毎月の給与に上乗せして支給する制度。
  • これは、かつて松下電器産業蝓陛時)が福利厚生や退職金制度を廃止して、その相当額を賞与に上乗せする「全額給与支払い型」社員制度を導入して以来、リクルート、ユニチャーム、三越など多くの企業で前払い制度に移行する事例がみられている。
  • この前払い手当額の設定については、後記の中退共方式と同様に、以下のいずれかの方法で設定することが通常となっている。
    • 定額(全員一律)=全員一律で掛金を設定するため、結果的には給与の一律ペースアップと同じとなる。
    • 等級(グレード)別設定=在職中の貢献度に見合った額を支給する場合には、以下の表のように等級別に支給額を設定する。なお、通常はこの方式が多いようです。
等級前払い月額
J120,000円/月
J210,000円/月
J38,000円/月
J45,000円/月

※等級の区分と金額は各企業で独自に設定します。

  • この制度のメリットは、現在の貢献度を後払いではなく、いま短期決済しその貢献度に見合った給与支給を行うことができる。また、確定給付型の退職金制度でないため、将来の運用リスクが少ない。
  • デメリットとしては、毎月の所得税や社会保険料の対象となること。また、「退職金制度なし」という会社になるため、ある程度、採用面でマイナスイメージが懸念される。

中退共利用確定拠出型退職金制度  

  • この制度は近年、中小企業の退職金制度のスタンダードになりつつあります。仕組みとしては、「中小企業退職金共済(中退共)」の掛金のみを約束し、最終的な支給額は約束しない確定拠出型のため、会社に運用リスクがない点が大きなメリットとして評価されている。
  • 基本給連動型やポイント制退職金制度等、多くの退職金制度は基本的にすべて支給額を約束する「確定給付型」であったため、近年のような運用が低迷している環境では積立不足が発生することもあるが、この制度は基本的に運用リスクの問題はないことになる。
  • この制度の掛金の設定は、以下のいずれかの方法によることとなっている。
    • 定額(全員一律)=全員一律で掛金を設定します。この場合は、定額制退職金制度の確定拠出版といったイメージです。
    • 等級(グレード)別設定=退職金に在職中の貢献度を反映させる場合には、以下の表のような等級別に掛金を設定します。この場合には、ポイント制退職金制度の確定拠出版といったイメージになります。
等級掛金月額
S120,000円/月
S215,000円/月
S310,000円/月
S48,000円/月
S55,000円/月


  • この制度のメリットとしては、会社に運用リスクがないこと、手数料が非常に安く制度のメンテナンスも簡単であること、また、適格退職金制度からの持ち分引継制度を活用することができること、さらに退職金の積立金が会社の資産から分離されるため、会社に万一のことがあっても退職金の支給には影響がないこと等々、多くのメリットがある。
  • この制度のデメリットとしては、中小企業しか加入できないこと(基準がある)、加入期間が1年未満は掛金没収、2年未満は元本割れとなること。また、中小企業の場合は自己都合退職が多いが、退職理由に基づく支給額の変更ができないため、例えば定年まで勤め上げた場合には、別途、特別功労金等を上乗せ支給するという設計も必要となる。

代表的な退職金制度を列挙しましたが、どの制度が良いかは、その会社の規模、業種、経営方針、企業風土等により適切に選択する必要があります。制度設計等のご相談があれば、お気軽にご連絡ください。


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