ES経営が中小企業を強くする!

東日本大震災(1)


東北大震災に係る労働基準法の取扱い
計画停電その他に関する労基法の規定の解釈例規


日を追うごとに死傷者数が増加し、原発問題も含め先行き不透明ななか、厳しい環境で必死に耐えながら被災されている皆さまに衷心よりお見舞い申し上げます。

この度、厚生労働省労働基準部監督課長名で計画停電に関する労働基準法(以下「法」という。)第26条の休業手当の取扱いに関して、通達(平23.3.15基監発0315第1号)が出ましたので紹介します。

なお、平成7年の兵庫県南部地震の際に出された各事案の法の取扱いについても併せて紹介しますので、参考にしてください。

計画停電の実施に伴う法第26条の取扱い  

  • この度の平成23年東北地方太平洋沖地震により電力会社の電力供給設備に大きな被害が出ていることから、不測の大規模停電を防止するため地域ごとの計画停電が行われています。

この場合、法第26条(休業手当)の取扱いに関して、以下の通達が出ましたので、ご紹介します。

(1)計画停電の時間帯における事業場に電力が供給されないことを理由とする休業については、原則として法第26条の使用者の責に帰すべき事由による休業には該当しないこと。

(2)計画停電の時間帯以外の時間帯の休業は、原則として法第26条の使用者の責に帰すべき事由による休業に該当すること。
ただし、計画停電が実施される日において、計画停電の時間帯以外の時間帯を含めて休業とする場合であって、他の手段の可能性、使用者としての休業回避のための具体的努力等を総合的に勘案し、計画停電の時間帯のみを休業とすることが企業の経営上著しく不適当と認められるときには、計画停電の時間帯以外の時間帯を含めて原則として法第26条の使用者の責に帰すべき事由による休業には該当しないこと。

(3)計画停電が予定されていたため休業としたが、実際には計画停電が実施されなかった場合については、計画停電の予定、その変更の内容やそれが公表された時期を踏まえ、上記1及び2に基づき判断すること。

解説  

  • 法第26条には、使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は休業期間中、1日につき休業手当として平均賃金の100分の60を支払わなければ
    ならないと定めています。
    ただし、解釈例規では、天災事変等の不可抗力の場合には、使用者の責に帰すべき事由には当たらず、使用者に休業手当の支払義務はないとされています。
    なお、「不可抗力」とは、1つはその原因が事業の外部より発生した事故であること、2つには事業主が通常の経営者として最大の注意を尽くしてもなお避けることのできない事故であることの2要件を備えたものでなければならないとしています。

他の事案に係る法第26条の取扱い  

  • これ以降は、平成7年の兵庫県南部地震において各種の疑義に対して、解釈例規としてなされた部分を紹介します。

Q1.疑義の内容  

  • 次の事由により労働者を休業させる場合は「使用者の責に帰すべき事由」による休業に当たるか。

(1) 今回の地震により、当該事業場の施設・設備か直接的な被害を受けた場合。

(2) 今回の地震により、当該事業場の施設・設備は直接的な被害を受けていないが、取引先や鉄道・道路が被害を受け、原材料の仕入、製品の納入等が不能となった場合。

(3) 被災地に所在する派遣先事業場が閉鎖となったため、派遣元事業主が派遣労働者を休業させる場合。

A1.疑義に対する解釈例規の内容  

(1)については、その原因が事業主の関与範囲外のものであり、原則として使用者の責に帰すべき事由に該当しないと解される。

(2)については、事案ごとに、当該取引先への依存の程度、輸送経路の状況、他の代替手段の可能性、災害発生からの期間、使用者としての休業回避のための具体的努力等を総合的に勘案し、判断する必要がある。

(3)については、他の派遣先への派遣の可能性をも考慮して判断する必要がある。

解説  

  • また、4月1日付で採用予定の新卒採用者の取扱いについては通常、内定通知書に出勤日を明示して送付し誓約書等を徴している場合は、「解約権留保・就労始期付労働契約」が成立していると解されています(「大日本印刷事件」昭和54.7.20最高裁第二小法廷)。
    従って、採用後の労働者と同じく解雇法理が適用されると考えられ、以下の法第19条、第20条に関する解釈例規を参考にしてください。
    なお、出勤日(採用日)を変更して自宅待機を命ずる場合は休業手当の問題が生じますが、先に述べたとおり今回の地震災害による場合は、休業手当支払義務は生じないと考えられます。

法第19条(解雇制限)法第20条(解雇予告)に関する取扱い  

Q2.疑義の内容  

  • 次の事由により労働者を解雇しようとする場合、「天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合」による解雇といえるか。

(1) 今回の地震により、当該事業場の施設・設備が直接的な被害を受けた場合。

(2)今回の地震により、当該事業場の施設・設備は直接的な被害を受けていないが、取引先や鉄道・道路が被害を受け、原材料の仕入、製品の納入等が不能となった場合。

解説  

  • 法第19条(解雇制限)は、業務上負傷又は疾病し療養のために休業する期間及びその後30日間、
    産前産後の女性が法第65条の規定に基づいて休業する期間及びその後30日間は労働者を解雇することは制限されるが天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合には、労働基準監督署長の認定を受けたときは解雇することが可能となる。
    解釈例規で「やむを得ない事由」とは、天災事変に準ずる程度に不可抗力に基づき、かつ突発的な事由の意であり、事業の経営者として社会通念上採るべき必要な措置をもってしても通常如何ともなし難いような状況にある場合をいう。
    また、「事業の継続が不可能になる」とは、事業の全部又は大部分の継続が不可能になった場合をいう。
  • 法第20条(解雇予告)は、労働者を解雇する場合には、30日前の予告か30日分の予告手当の支払が必要である。
    天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合には、労働基準監督署長の認定を受けて、解雇予告を行わず即時解雇することが可能となる。
    「やむを得ない事由」、「事業の継続不可能性」についての解釈は上記と同じ。

A2.疑義に対する解釈例規の内容  

(1)については、そのために事業の全部又は大部分の継続が不可能となった場合には、肯定して差し支えないと考えられる。

(2)については、事業の全部又は大部分の継続が不可能となった場合であっても、事案ごとに、事業の継続が不可能となったとする事由が真にやむを得ないものであるか否かについて、当該取引先への依存の程度、輸送経路の状況、他の代替手段の可能性等を総合的に勘案し、判断する必要がある。

法第25条(非常時払)の取扱い  

Q3.疑義の内容  

(1)本条の「災害」には、今回の地震による災厄も含まれるか。

(2)労働者又はその家族が、被災し、又は居住地区が避難区域に指定される等により、住居の変更を余儀なくされる場合の費用は、本条の「非常の場合の費用」に該当するか。

解説  

  • 法第25条(非常時払)は、労働者が疾病、災害等非常の場合の費用に充てるために請求する場合、支払期日前であっても既往の労働に対する賃金を支払わなければならない。
    労働者本人の疾病、災害に限らず、労働者の収入によって生計を維持する者の疾病、災害等の場合も含まれる。解釈例規では、疾病、災害とは、業務上の疾病、負傷であると業務外のいわゆる私傷病であるとを問わず、洪水、火災等による災厄も災害に含まれる。

A3.疑義に対する解釈例規の内容  

(1)について、本条の「災害」には、今回の地震による災厄も含まれる。

(2)については、そのような費用も「非常の場合の費用」に該当する。

powered by Quick Homepage Maker 3.71
based on PukiWiki 1.4.7 License is GPL. QHM

最新の更新 RSS  Valid XHTML 1.0 Transitional