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東日本大震災(5)


東日本大震災に伴う労働基準法等の
Q&A(第2版)


  • 東日本大震災の発生により、被害を受けられた事業場においては、事業の継続が困難になり、又は著しく制限される状況にあります。
    また、被災地以外に所在する事業場においても、鉄道や道路等の途絶から原材料、製品等の流通に支障が生じるなどしています。
  • このため、賃金や解雇等の労働者の労働条件について使用者が守らなければならない事項等を定めた労働基準法の一般的な考え方などについてQ&Aを取りまとめることになったものです。
  • 今回の第2版では、派遣労働者の雇用管理、解雇、採用内定者への対応、1年単位の変形労働時間制についての記載を追加しています。

派遣労働者の雇用管理について  

Q2-1派遣先の事業場が震災の影響で休業しましたが、派遣先事業主が直接雇用する労働者を休業させたことについては、労基法第26条の「使用者の責に帰すべき事由」に当たらず、同条に基づく休業手当の支払いが不要とされました。
このような場合、派遣元事業主と派遣労働者との関係においても、休業手当を支払う必要がないこととなるのでしょうか?  

(A2-1)

  • 派遣中の労働者の休業手当について、労基法第26条の「使用者の責に帰すべき事由」に当たるかどうかの判断は、派遣元の使用者についてなされます。
    派遣先の事業場が、天災事変等の不可抗力によって操業できないため、派遣されている労働者を当該派遣先の事業場で就業させることができない場合であっても、それが「使用者の責に帰すべき事由」に該当しないとは必ずしもいえず、派遣元の使用者について、当該労働者を他の事業場に派遣する可能性等を含めて、「使用者の責に帰すべき事由」に該当するかどうかが判断されます。
    なお、労基法第26条の使用者の責に帰すべき事由」による休業に当たるかどうかの考え方は、当ホームページの労基法に関するQ&A(第1版)のA4、A5をご覧ください。
  • また、今回の震災に伴う経済上の理由により事業活動が縮小した場合は、休業についての手当等が支払われ、雇用保険の適用事業所であるなど他の要件を満たせば、雇用調整助成金及び中小企業緊急雇用安定助成金が利用できます。
    • 派遣元の使用者は、「派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針」に基づき、派遣先と連携して新たな就業機会の確保を行うことや、新たな新たな就業機会の確保ができない場合でも、休業等を行い、派遣労働者の雇用の維持を図ることに努めていただくようお願いいたします。
      指針については、以下のURLをご覧ください。

    http://www.mhlw.go.jp/general/seido/anteikyoku/jukyu/haken/youryou/dl/8shishin.pdf

Q2-2 派遣先の被災等により、派遣先での業務ができなくなったことや、派遣先と派遣元の労働者派遣契約が中途解除されたことにより、派遣元が派遣労働者を即時に解雇することは許されるのでしょうか?  

(A2-2)

  • まず、「派遣元と派遣先との間の労働者派遣契約」と「派遣元と派遣労働者との間の労働契約」とは別であることに留意する必要があります。
    派遣元と派遣労働者との間の労働契約は、契約期間の定めのない労働契約である場合(無期労働契約)と契約期間の定めのある労働契約である場合(有期労働契約)があります。
  • 有期労働契約の解雇については、労働契約法第17条第1項において「使用者は、期間の定めのある労働契約について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない。」と規定されていることを踏まえ、適切に対応されることが望まれます。
  • 派遣元の使用者は、派遣先での業務ができなくなったり、派遣先との間の労働者派遣契約が中途解除された場合でも、そのことが直ちに労働契約法第17条第1項の「やむを得ない事由」に該当するものではないことに注意してください。
    このほか、無期労働契約の解雇に関すること等については、後記のQ3-1、A3-1をご覧ください。

震災に伴う解雇について  

Q3-1 今回の震災を理由に雇用する労働者を解雇・雇止めすることはやむを得ない対応として認められるのでしょうか?  

(A3-1)

  • 震災を理由とすれば無条件に解雇や雇止めが認められるのではありません。
    また、今回の震災の影響により、厳しい経営環境に置かれている状況下においても、出来る限り雇用の安定に配慮していただくことが望まれます。
  • 解雇については、法律で個別に解雇が禁止されている事由(例:業務上の傷病による休業期間及びその後30日間の解雇=労基法第19条等)以外の場合は、労働契約法の規定や裁判例における以下のようなルールに沿って適切に対応する必要があります。

[期間の定めのない労働契約の場合]

  • 労働契約法第16条では「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」と規定されています。
  • また、整理解雇(経営上の理由から余剰人員削減のためになされる解雇)については、裁判例において、解雇の有効性の判断に当たり
    (1)人員整理の必要性、(2)解雇回避努力義務の履践、(3)被解雇者選定基準の合理性、(4)解雇手続の妥当性、という4つの事項が考慮されており、留意が必要です。

[有期労働契約(期間の定めのある労働契約)の場合]

  • これはパートタイム労働者や派遣労働者に多く見られる雇用形態です。
    労働契約法第17条第1項では「使用者は、期間の定めのある労働契約について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない。」と規定されています。
    この場合、有期労働契約期間中の解雇は、期間の定めのない労働契約の場合よりも、解雇の有効性は厳しく判断される点に留意が必要です。
  • また、裁判例によれば、契約の形式が有期労働契約であっても、期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態に至っている契約である場合や
    反復更新の実態、契約締結時の経緯等から雇用継続への合理的期待が認められる場合は、
    解雇に関する法理の類推適用等がされる場合があります。
    個別の解雇・雇止めの当否については最終的に裁判所における判断となりますが、これらの規定の趣旨や裁判例等に基づき、適切に対応されることが望まれます。

Q3-2 今回の震災で、事業場の施設・設備が直接的な被害を受けたために、事業の全部又は大部分の継続が困難になったことにより労働者を解雇しようとする場合、労基法第19条及び第20条に規定する「天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合」による解雇といえるでしょうか?  

(A3-2)

  • 労働契約や労働協約、就業規則、労使慣行に基づき、解雇を行う場合の手当等の支払を定めているときは、労働契約等に基づき当該手当の支払等を行う必要があります。
  • 最低労働基準を定める労基法との関係では、同法第19条は、使用者は、労働者が業務上の負傷又は疾病のため休業する期間及びその後30日間、
    産前産後の女性が労基法第65条に基づいて産前産後の休業をする期間及びその後30日間は、労働者を解雇してはならないと定めています。
    ただし、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合に労基署長の認定を受けたとき等はその限りでないとされています。
  • また、労基法第20条では、使用者は労働者を解雇する場合には、30日前に予告するか30日分の平均賃金(解雇予告手当)を支払わなければならないとされています。
    ただし、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合等で労基署長の認定を受けたときは、解雇予告や解雇予告手当の支払は不要とされています。
  • 労基法第19条と第20条の「天災事変その他やむを得ない事由」とは、天災事変のほか、天災事変に準ずる程度の不可抗力によるもので、かつ、突発的な事由を意味し、
    経営者として必要な措置をとっても通常いかんともし難いような状況にある場合を意味すると解されています。
    また「事業の継続が不可能になる」とは、事業の全部又は大部分の継続が不可能になった場合を意味すると解されています。
  • 今回の震災で、事業場の施設・設備が直接的な被害を受けたために事業の全部又は大部分の継続が不可能になった場合は、原則として、「天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合」に当たるものと考えられます。

Q3-3 今回の震災で、事業場の施設や設備は直接的な被害を受けていませんが、取引先や鉄道・道路が被害を受け、原材料の仕入、製品の納入等が不可能になったために、事業の全部又は大部分の継続が困難になったことにより労働者を解雇しようとする場合、労基法第19条及び第20条の「天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合」による解雇といえるでしょうか?  

(A3-3)

  • 解雇の有効性などに関する労働契約法のルール等については、Q3-1等をご覧ください。
    最低労働基準を定める労基法との関係では、事業場の施設や設備は直接的な被害を受けていない場合には、事業の全部又は大部分の継続が不可能となったときであっても、原則として「天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合」による解雇に当たりません。
  • ただし、取引先への依存の程度、輸送経路の状況、他の代替手段の可能性、災害発生からの期間等を総合的に勘案し、事業の継続が不可能となったとする事由が真にやむを得ないものであると判断される場合には、
    例外的に「天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合」に該当すると考えられます。

採用内定者への対応について  

Q4-1 今回の震災に伴い、事業活動が縮小しています。来年度からの採用を予定している者について、内定を取り消すことは可能ですか? その他内定者の取扱いについて留意すべきことはありますか?  

(A4-1)

  • 採用内定を得ている被災地の新卒者等が、可能な限り入社できるよう、また、可能な限り予定していた期日に入社できるよう最大限努力いただきますようお願い致します。
    採用内定により労働契約が成立したと認められる場合には、採用内定取消は解雇に当たり、労働契約法第16条の解雇権の濫用についての規定が適用されます。
    従って、採用内定取消についても、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合には、権利を濫用したものとして無効となります。
  • 採用内定通知等に採用内定取消事由が記載され、解約権が留保されている場合がありますが、裁判例によれば、採用内定の取消事由は、解約権留保の趣旨、目的に照らして客観的に合理的と認められ社会通念上相当として是認することができるものに限られるとされています。
  • なお、採用内定により労働契約が成立したと認められる場合に、やむを得ない事情により採用内定取消を行おうとする場合には、
    使用者は解雇予告等労基法に基づく解雇手続を適正に行う必要があるとともに、採用内定者が採用内定取消の理由について証明書を請求した場合には、遅滞なくこれを交付する必要があります。
    このことは、最低労働基準を定める労基法上の取扱いであり、上記の採用内定取消の有効性に関する取扱いを示したものではありません。
    また、新規学校卒業者の採用内定取消を行おうとする場合は、所定の様式により、必ずハローワーク及び学校に通知することが必要となります。

平成23年3月22日に厚生労働大臣・文部科学大臣連名で主要経済団体、求人情報事業所団体に「採用内定を得ている被災地の新卒者等が、可能な限り入社できるよう、また、可能な限り予定していた期日に入社できるよう最大限努力すること」等について要請しています。

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000015qbn.html

●なお、発表されたQ&A(第2版)の全体を見る場合は、以下のURLからご覧ください。

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000016u30-img/2r98520000017esn.pdf

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