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法改正情報18

労災保険の障害等級、64年ぶりに改正
同一障害に男女差別は違憲との判決を受け
平成23年2月1日施行

改正の経過  

  • 平成22年5月27日、京都地裁において労災保険法施行規則別表第一の「障害等級表」に定められている障害の中に「外貌(頭や顔、首といった日常的に人目に付く部分、外見)に著しい醜状(やけどや傷跡)を残す」場合に、男性と女性で等級に差があるのは違憲であるとの判決がありました。
  • 原告男性は、1995年、勤務先で水蒸気爆発により1000度以上の溶解炉から溶けた金属が噴き上がるという労災事故に遭い、全身に大やけどを負いました。
    男性は、約10年間で16回に及ぶ手術を受けたが、右頬、あご、頸、胸部全域、腹部のほぼ全域、背中、上肢、下肢等に著しい醜状が残ってしまいました。
  • この労災事故に対して、労基署長は、原告の後遺障害について体の他の醜状と併合して11級と認定し、給付基礎日額(労基法に定める平均賃金と同じ)の223日分の一時金と29万円の特別支給金を支給しました。
    ところが、同じ醜状でこれが女性であれば、体の他の醜状と併合して5級の認定を受け、給付基礎日額の184日分の年金と特別支給金として225万円が補償されることになります。しかも、年金であるため醜状が続く限り毎年、支給されることになります。この差は大変大きなものがあります。
  • このような差がどうして発生するかというと、「障害等級表」で醜状障害について次のように規定していたからです。
    • 第7級の12]女性の外貌に著しい醜状を残すもの。
    • 第12級の13]男性の外貌に著しい醜状を残すもの。
    • 第12級の14]女性の外貌に醜状を残すもの。
    • 第14級の10]男性の外貌に醜状を残すもの。
  • 今回、原告男性が裁判に訴えるまで、戦後間もない昭和22年9月に制定された障害等級が60年以上も放置されてきたことになります。
    恐らく制定当時は、「女は顔」「女は外見」という男性社会が作りあげた社会通念であったためと思われるが、何よりも外貌醜状によって受ける精神的苦痛や社会生活に及ぼす影響は、あくまで個人的認識によるものであり、男女という性差によって区別できるものではないと考えられます。
    従って、京都地裁の判決でも「外見に傷が残ることで本人が被る精神的苦痛などは、男女差が明らかではない。男性でも苦痛を感じることはあるし、現に原告の苦痛は大きいる」と判示していることからも明らかです。
  • この判決に対して国(厚生労働省)は、6月10日に違憲判決を受け入れると発表したことから、同判決は6月11日に確定しました。そして、平成23年2月1日付で約64年ぶりに障害等級表が改正されたことになります。
  • 労災保険の「障害等級」は、交通事故の自賠責保険額や、国家公務員、地方公務員の災害補償、さらには犯罪被害者救済の給付金の算定などにも参考とされ、引き継がれています。今まで、なぜ見直しが行われなかったのか、関係省庁は重く受け止めるべきであるとともに、改正への対応が急務と言えます。

改正の主な内容  

障害等級の男女差の解消。  

  • 現在、男女別となっている障害等級について、男性の等級を女性の等級に引き上げるかたちで改正し、障害の程度に応じ男女とも同一の等級として評価する。

障害等級の新設。  

  • 医療技術の進展により、傷跡の程度を、相当程度軽減できる障害を、新設する「第9級」として評価する。

障害等級表(改正等級のみ:赤字部分が変更点)  

改正後現行
障害等級身体障害障害等級身体障害
第7級12外貌に著しい醜状を残すもの第7級12女性の外貌に著しい醜状を残すもの
第9級11の2外貌に相当程度の醜状を残すもの第9級
第12級13削除第12級13男性の外貌に著しい醜状を残すもの
14外貌に醜状を残すもの14女性の外貌に醜状を残すもの
第14級10削除第14級10男性の外貌に醜状を残すもの

外貌障害に係る障害認定基準  

  • 第7級の12「外貌に著しい醜状を残すもの」とは、原則として、次のいずれかに該当する場合で、人目につく程度以上のものをいう。
    • 頭部にあっては、てのひら大(指の部分は含まない)以上の瘢痕(傷やできものが治った跡に残る傷跡)又は頭蓋骨のてのひら大以上の欠損。
    • 顔面部にあっては、鶏卵大面以上の瘢痕又は10円銅貨大以上の組織陥没
    • 頸部にあっては、てのひら大以上の瘢痕
  • 第9級の11の2「外貌に相当程度の醜状を残すもの」とは、原則として、顔面部の長さ5センチメートル以上の線条痕で、人目につく程度以上のものをいう。
  • 第12級の14「外貌に醜状を残すもの」とは、原則として、次のいずれかに該当する場合で、人目につく程度以上のものをいう。
    • 頭部にあっては、鶏卵大面以上の瘢痕又は頭蓋骨の鶏卵大面以上の欠損
    • 顔面部にあっては、10円銅貨以上の瘢痕又は長さ3センチメートル以上の線条痕
    • 頸部にあっては、鶏卵大面以上の瘢痕

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