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法改正情報23

有期労働契約の新しいルール
労働契約法が改正されました
平成24年8月10日公布
  • 改正法のポイント

1 無期労働契約への転換

  • 有期労働契約が反復更新されて通算5年を超えたときは、労働者の申込みにより、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換できるルール。

2 「雇止め法理」の法定化

  • 最高裁判例で確立した「雇止め法理」が、そのままの内容で法律に規定されました。一定の場合には、使用者による雇止めが認められないことになるルール。

3 不合理な労働条件の禁止

  • 有期契約労働者と無期契約労働者との間で、期間の定めがあることによる不合理な労働条件の相違を設けることを禁止するルール。

施行期日

  • 2は平成24年8月10日(公布日)
  • 1と3は、公布日から起算して1年を超えない範囲内で政令で定める日

改正の趣旨  

  • 有期労働契約は、パート労働、派遣労働をはじめ、いわゆる正社員以外の労働形態に多く見られる労働契約の形式です。
    有期労働契約で働く人は全国で約1200万人と推計されています。そして、有期労働契約で働く人の約3割が、通算5年を超えて有期労働契約を反復更新している実態にあり、そのもとで生じる雇止めの不安の解消が課題となっています。
    また、有期労働契約であることを理由として不合理な労働条件が定められることのないようにしていく必要もあります。
  • 労働契約法の改正は、こうした問題に対処し、働く人が安心して働き続けることができる社会を実現するためのものとしています。

1 無期労働契約への転換(第18条第1項、第2項)  

第1項について  

  • 第1項では、同一使用者との間で、有期労働契約が通算して5年を超えて反復更新された場合は、労働者がその契約期間内に申込むことにより使用者はその申込みを承諾したものとみなして、申込んだ時の有期労働契約が終了する日の翌日から無期労働契約となります。
  • 労働契約期間が1年の場合を例として考えてみます。
    • 平成25年4月1日に1年間の有期労働契約を締結した場合、5年間の契約期間が終了するのは平成30年3月31日であり、この場合、平成30年4月1日に契約更新した新たな1年間の契約期間中に当該労働者が無期労働契約の申込みを使用者にした場合は、平成31年4月1日から無期労働契約となります。
    • このケースで、平成30年4月1日〜平成31年3月31日までの間に、無期労働契約の申込みをしなかった場合は、次の更新以降(平成31年4月1日〜平成32年3月31日)でも無期労働契約転換の申込みができるようになっています。
  • 契約期間が3年の場合
    • 平成25年4月1日に契約期間3年の労働契約を締結した場合、3年経過後の新しい契約は平成28年4月1日付となりますが、次の3年間で満6年となることから、無期労働契約への申込みは平成28年4月1日から平成31年3月31日までの期間に行うことができます。
    • この場合、無期労働契約への転換は、平成31年4月1日からとなります。

5年のカウントは、本条(第18条)の施行日(公布日から起算して1年を超えない範囲内で政令で定める日)以後に開始する有期労働契約が対象となります。従って、施行日以前に既に開始している有期労働契約は5年のカウントに含まれません。  

  • (注1)5年超で新しい契約期間で無期労働契約への申込みをすると、使用者が申込みを承諾したものとみなされ、無期労働契約が成立します。
    その場合、無期労働契約に転換されるのは申込み時の有期労働契約が終了する日の翌日からとなります。もし、使用者が転換時点で雇用を終了させようとする場合は、無期労働契約を解約(解雇)する必要がありますが、
    「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない場合」には、解雇は権利濫用に該当するものとして無効となります。
  • (注2) 無期労働契約の労働条件(職務、勤務地、賃金、労働時間など)は、別段の定めをすることにより変更は可能となります。
    「別段の定め」とは、労働協約、就業規則、個々の労働契約(無期転換に当たり労働条件を変更することについての労働者と使用者の個別の合意のこと)が該当します。
    なお、無期転換に当たり、職務の内容などが変更されないにもかかわらず、無期転換後の労働条件を低下させることは、無期転換を円滑に進める観点から望ましくないとされています。
  • (注3) 「更新」について、無期転換を申込まないことを契約更新の条件とするなど、あらかじめ労働者に無期転換申込権を放棄させることはできません。
    法の趣旨から、そのような意思表示は無効と解されます。

第2項について(「通算5年」の計算とクーリング)  

  • 第2項は、「空白期間」についての規定です。
    空白期間とは、有期労働契約と有期労働契約との間に、同一使用者の下で働いていない期間のことで、その空白期間が6か月以上あるときは、その空白期間より前の有期労働契約は「5年」のカウントには含めないことを規定しています。
    これを「クーリング」といいます。
  • 上記の場合のほか、通算対象の契約期間が1年未満の場合は、当該契約期間の2分の1以上の空白期間があれば、それ以前の有期労働契約期間は5年のカウントに含めないとしています。
    なお、詳細は後日、厚生労働省令で定められます。

2 「雇止め法理」の法定化(第19条)  

  • 有期労働契約は、使用者が更新を拒否したときは契約期間の満了により雇用が終了します。このことを「雇止め」といいます。
    この雇止めについては、労働者保護の観点から、過去の最高裁判例により一定の場合にこれを無効とする判例上のルール(雇止め法理)が確立していますが、今回の法改正は、雇止め法理の内容や適用範囲を変更することなく、労働契約法に条文化したものです。
  • 条文の具体的内容は、次のとおりです。

対象となる有期労働契約

  • 次の(1)、(2)のいずれかに該当する有期労働契約が対象になります。
  • (1) 過去に反復更新された有期労働契約で、その雇止めが無期労働契約の解雇と社会通念上同視できると認められるもの。
    • 「東芝柳町工場事件」(昭和49.7.22 最高裁第一小法廷判決)の要件を規定したもの。
  • (2) 労働者において、有期労働契約の契約期間の満了時に当該有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由(※)があると認められるもの。
    • 「日立メディコ事件」(昭和61.12.4 最高裁第一小法廷判決)の要件を規定したもの。
  • ※1 合理的な理由の有無については、最初の有期労働契約の締結時から雇止めされた有期労働契約の満了時までの間におけるあらゆる事情が総合的に勘案されます。
  • ※2 いったん、労働者が雇用継続への合理的な期待を抱いていたにもかかわらず、契約期間の満了前に使用者が更新年数や更新回数の上限などを一方的に宣言したとしても、そのことのみをもって直ちに合理的な理由の存在が否定されることにはならないと解されます。

要件と効果

  • 上記の(1)、(2)のいずれかに該当する場合に、使用者が雇止めをすることが、「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないとき」は、雇止めが認められません。従前と同一の労働条件で、有期労働契約が更新されます。

必要な手続

  • 条文化されたルールが適用されるためには、労働者からの有期労働契約の更新の申込みが必要です(契約期間満了後でも遅滞なく申込みをすれば条文化されたルールの対象となります)
    ただし、こうした申込みは、使用者による雇止めの意思表示に対して「嫌だ、困る」と言うなど、労働者による何らかの反対の意思表示が使用者に伝わるものでもかまわないと解されます。

3 不合理な労働条件の禁止(第20条)  

  • 同一の使用者と労働契約を締結している、有期契約労働者と無期契約労働者との間で、期間の定めがあることにより不合理に労働条件を相違させることを禁止するルールです。

対象となる労働条件

  • 一切の労働条件について、適用されます。
  • 賃金や労働時間等の狭義の労働条件だけでなく、労働契約の内容となっている災害補償、服務規律、教育訓練、付随義務、福利厚生など、労働者に対する一切の待遇が含まれます。

判断の方法

  • 労働条件の相違が不合理と認められるかどうかは、
    • 職務の内容(業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度)
    • 当該職務の内容及び配置の変更の範囲
    • その他の事情

を考慮して、個々の労働条件ごとに判断されます。

  • とりわけ、通勤手当、食堂の利用、安全管理などについて労働条件を相違させることは、上記の3点を考慮して、特段の理由がない限り、合理的とは認められないと解されます。

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