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労務管理情報(8)


猪(い)〜年(とし)社労士@小野寺(おやじ)の労務管理情報
第8回 働き方改革/週休3日制の実践企業紹介


大分県国東市で段ボール製の模型などを製造販売している国東時間株式会社では、2013年6月から週休3日制を導入し注目を集めています。「働き方改革」が社会の大きな課題となっている現在、同社の代表取締役社長の松岡勇樹さんが取り組んだ新しい働き方について、某新聞に掲載されたインタビュー記事を転載して紹介します。

きっかけはマネキン  

会社を訪問すると段ボールで作られたさまざまな模型が出迎えてくれた。会社設立の経緯から聞いた。  

  • 私は大学を卒業して建築事務所で設計をしていました。その後、独立してフリーランスでやっていた時に、ニットのデザインをしていた妻と出会い、展示会用のマネキンがなかなか見つからないと言うので、「じゃあ、僕が作ろうか」と言ったのがきっかけです。
    マネキンは、借りても買っても高い。そこで、段ボールを組み立てて作ることを思いついたんです。
  • アパレル業界では珍しかったらしく評判も上々でした。ただ、販売を引き受けてくれる会社はなかなか見つかりませんでした。ですから、仕方なく自分で会社を設立したのです。

1998年に出身地である大分県国東市に「アキ工作社」(国東時間株式会社の前身)を設立しました。
マネキンが注目され、海外との契約も増えた。しかし、創業以来初めて2012年に売り上げが落ち、松岡社長は働き方を見つめ直した。  

  • リーマンショックの影響もあって落ちてしまった売り上げを、もう一度伸ばすにはどうしたらいいか思案したんですよね。
    普通なら「たくさん作って、たくさん売る」方法を考えるのかも知れませんが、抵抗がありました。これ以上、働く時間を増やしても生産性が上がる気がしなかったからです。
    勤務時間が長くなれば集中力は落ちますし、ミスも増える。それなら、逆にしてみようと考えたんです。
  • その結果、労働時間を短くして、それで生まれた自由な時間を個人がスキルアップに使えば、結果として売り上げが伸びていくのではないかと。それを「国東時間」と名付け、「週休3日制」に踏み切ることにしたのです。

うれしい誤算  

月曜日から木曜日までは午前8時から午後7時まで、休憩の1時間を除いた10時間勤務とし、金曜日から日曜日を休みにしたわけですね。  

  • トータルの勤務時間は40時間で、8時間勤務の週休2日制と同じにしたのですが、8時間勤務の時から、会社に9時間から10時間滞在している社員が多かったため、導入後は会社にいる時間が実質的には5分の4程度に減りました。
  • また、当初、週休3日にするとクリエーティブ部門の人はアイデアを出す時間が増えて喜んだとしても、製造部門の人は機械を動かせる時間が減るので不満を抱くのではないかと思っていました。しかし、製造部門もこれまで5日間でやっていたことを4日間でやるために、積極的に効率化に取り組んでくれました。うれしい誤算でしたね。
  • 今週やるべきことをリストとして書き出し、仕事の全体像や優先順位を皆で共有。無駄な会議はどんどん削りました。結果としては、売り上げが約30%伸びたんです。

「地方公共団体が持続していくためには東京の時間に合わせるのではなく、その土地の時間に合った働き方を作っていく必要がある」と社長は強調されていますが。  

  • 金土日は自分のスキルアップのためだけでなく、地域に貢献するためにも使ってほしいと考えていました。
    ただ、あくまでも会社からの要望なので、社外の活動には手当を出すことにしました。会社自体も地域の共同体の一つとして、どう貢献するのかが求められています。
  • 活力ある地域コミュニティーを再生したいとの思いから、社屋前の広場を利用して実施した「時祭(ときのまつり)」というお祭りには、約600人が集まって楽しんでくれました。

時間を共有する  

社長は、「時間」を「個々に独立して流れている」と定義していますが。  

  • 私は、人はそれぞれが独立した時間の中を生きていて、それは決して他人と同一化することはないと考えています。
    ですから、一緒に仕事をするということは、時間を共有するということです。そう考えれば、相手の時間を尊重する気持ちが出てくると思うんですよね。
  • それを無理に同一化しようとするから弊害が生まれてくる。お互いが相手の時間を尊重していけば、もっと生きやすい社会になるのではないかと思っています。

最後に、読者(労働者)にエールを送ってください。  

  • 休みを「自分をスキルアップさせる」ために使えるかどうかが非常に大切なんです。
    休みだからといって、ずっと寝ていたら何の成長もありません(笑い)。もし、豊かに生きるために自分が何をすべきか知っている人が、自由な時間が与えられたら、喜々として使いこなすでしょう。しかし、どう使ったらいいのか分からないという人も多い。
  • 週休3日制を経験して思うことは、与えられたことをやれば給料がもらえる方が楽だということです。自由に使える時間を使いみたすためには人として成熟する必要があるからです。
    その成熟度を高めるためには、まず「目の前のことを一生懸命、繰り返しやる」しかありません。その中で、今までできなかったことができるようになったり、見えなかったものが見えるようになったりしてくると思います。
  • 時間はかかるかもしれませんし、見つかるまで右往左往するかもしれない。それでもいいから、若い人には、豊かに生きるために自分がすべきことを見つけてほしいと願っています。 (了)

 

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